今更ながら、この高校にいなかったらどうしよう。

いやでも、本人がこの高校に春から通うって言ってたんだし、間違いはないと思うけど。

それに、この高校には2年前から古典研究部が出来たと入学説明会で聞いた。


真っ先に、雅臣先輩だと思った。

あんなマニアックな部活作るのは、あの人しかいない。


「えっと、私の席は……」


黒板に貼られた座席表を見ると、窓側の一番後ろの席だった。

このクラスは女子が多いせいか、後ろの方の席は女子同士で座っている。

後ろの席とか、ラッキーだな。

雅臣先輩の影響で今ではすっかり和歌マニアになった私は自分の席へ鞄を置くと、すかさず百人一首の本を取り出す。


影響でっていうか……。

和歌で告白されたことを知ってからというもの、和歌が気になってしょうがなくなってしまったのだ。