クラスメートとは、当たり障りなく接して、広く浅い交友関係さえ気づければそれでいいと思っている。
でも、雅臣先輩だけは特別だった。
君のことだけは軽い仲では満足できないし、他人にとやかく言われても諦められない。
この高校でやるべきことは、ひとつだ。
君に、あの和歌の返事をすること。
「行ってきます」
玄関で靴を履き替えた私は、返ってこないとわかっている挨拶を一応して家を出る。
空を見上げれば、今日の入学式にはぴったりの快晴。
私は雅臣先輩に会える喜びに心躍らせながら、足取り軽く高校へと向かった。
入学式を終えると、これから過ごすことになる1年A組の教室へとやって来た。
入学式の時、雅臣先輩の姿を探していたが見つけられなかった。
残念だな……。
まぁ人も多かったし、探すのは無理があるよね。
放課後に部室に行けばいいかと、沈んだ気持ちを無理矢理奮い立たせる。


