「きゃー! 隼人が優し〜!」



そんな俺の様子に即座に反応したのが柿椿祥子(カキツバキショウコ)。



「祥子、俺はいつも優しいつもりだけど?」


「えっ? そうだったかな?」



クスクス笑いながら俺の肩に手を乗せてきた祥子は、彼女へと視線を向けた。


この状況にどうしていいのか分からず戸惑い気味の彼女は、目が泳いでいて落ち着きがない。


隣でクスッという笑い声が聞こえたかと思うと、耳元に微かに吐息がかかる。


祥子の柔らかな髪が俺の顔に触れ、耳元で囁かれた。



「隼人あの娘のこと気になってるでしょ?」



気になると言われれば気になるし、それはあくまで兄のような保護者目線のような感じ。


ただそれだけのことだ。


別に好きだとか言う恋愛感情は持ち合わせていない。



「ってか二人ってまだそういう関係なの?」



俺らの間に昴がひょっこりと顔を出す。


口角を上げにやりと含み笑いをして、俺らの顔を交互に見た。



「アハハ! ないない。もうとっくの昔に終わってるって。ね、隼人?」


「ああ、今更ありえないね」


「うわっ、隼人冷た〜い」


「ハハッ、お互い様だろ?」



そう、祥子は俺の元カノ。


付き合ってはみたものの、友達の延長線上という感じで、そんなに長くは続かなかった。


今は気の合う仲間ってとこ。