「選びなさい。……心優と結婚するか……お前の愛する心春さんを喪うか……」 聞きたくない。 もう、何も、聞きたくない。 どうして、思い通りにいかない? 俺たちは、ただ、生きているだけなのに。 どうして、こんなにも交われない? 心が、遠いんだ。 「俺は……」 言い返そうと、口を開いたとき。 ――バンッ! 突然、開いた扉。 思わず目を向けると、一人の女がいた。 同じく、心優もそこを驚いた顔で見つめる。 藤島はそこを面白そうに眺めて、言った。