「ちょーっと、通してねー」
電子ロックキーを適当に触り、解除する。
さすが、御園。
こんなことまで、わかるとは。
(ある意味、怖いよなー)
私はそのトップに君臨する奴を、旦那に持っているのか。
追いかけてきた警備員は殴り倒し、走れないぶん、こそこそと歩いてく。
やっぱり、足が使えないのは不便だ……。
運動系である私は、ひどくそう思う。
でも、これが代償なら、安いと感じる。
本当、現金な頭だ。
何だかんだしているうちに、社長室の前に辿り着いて。
「あれ?意外と私の身体、動くじゃん」
使えないと言われたのに……優秀である。
走れないけれど、鍛えられた警備員は蹴飛ばせるのだから、問題はないだろう。うん。
「じゃ、お邪魔しますか」
社長室の扉の電子ロックキー。
これも、わかっているわけで。
私は、容易に侵入した。


