【完】☆真実の“愛”―君だけを―2






「うわー、でかっ!」


自分の祖父の会社を見上げ、そう言った沙耶。


「やっぱ、御園や姫宮と比べるとあれだけど……すごいな」


どんなにすごくても、裏でやって良いことといけないことがあるだろう。


確か、72歳だったか……藤島雷紀は。


それで……


「ねぇ、相馬」


「ん?」


沙耶は俺の名前を呼び、振り返る。


「……お願いしたいことがあるんだけど」


―嗚呼、やっぱり、この女は統治者の器である。


男だったなら……俺は、沙耶をライバルと認めていただろう。


沙耶は頭が回るから……俺は、そんな沙耶のなかに隠された弱いところに引かれたのだから……沙耶のためならば、なんだってする。そして、沙耶を傷つけるものは、すべて、容赦なく消すんだ。


沙耶の笑顔が守られるならば……俺は、なんだって。


沙耶が中心のこの世界で、俺は今日も生きていく。