【完】☆真実の“愛”―君だけを―2



儀式の内容は“鬼華”という部屋で、妻を抱くこと。


それも、五日間。


通常の人間ならば、体力的に無理である。


しかし、御園の人間である俺らに流れる血は違うから。


細かいことは、俺にも分からない。


だが、そのそこで五日間の儀式を終えたあと、初めて、妻として認められる。


夫の異常な姿に耐え抜いて……


(鬼姿で喜ぶ辺り、沙耶は怖がりそうにないが)


分かっている。


けれど……


脳裏に浮かぶのは、沙耶の動かない姿。


再びそうなられるのが怖くて……俺は、沙耶をいまだに抱けずにいた。


鬼華の部屋で、ではなく、どこでも……だ。


そんなとき、沙耶からかかってきた電話。


『―もしもし?相馬?ごめんけど……迎えに来てくれない?』


「ああ、わかった」


沙耶の声を聞くだけで、こんなにも、逢いたくなる。


それだけ、俺は沙耶に溺れている。