儀式の内容は“鬼華”という部屋で、妻を抱くこと。
それも、五日間。
通常の人間ならば、体力的に無理である。
しかし、御園の人間である俺らに流れる血は違うから。
細かいことは、俺にも分からない。
だが、そのそこで五日間の儀式を終えたあと、初めて、妻として認められる。
夫の異常な姿に耐え抜いて……
(鬼姿で喜ぶ辺り、沙耶は怖がりそうにないが)
分かっている。
けれど……
脳裏に浮かぶのは、沙耶の動かない姿。
再びそうなられるのが怖くて……俺は、沙耶をいまだに抱けずにいた。
鬼華の部屋で、ではなく、どこでも……だ。
そんなとき、沙耶からかかってきた電話。
『―もしもし?相馬?ごめんけど……迎えに来てくれない?』
「ああ、わかった」
沙耶の声を聞くだけで、こんなにも、逢いたくなる。
それだけ、俺は沙耶に溺れている。


