【完】☆真実の“愛”―君だけを―2

■相馬side□



『当主!何をお考えですか!?』


『由緒正しき家から、嫁とりはするはずだったでしょう!?どうして、そんな……あなた様らしくない!』


思い出すだけで、気分が悪くなる。


『……俺らしくないとは、どういうことだ?沙耶を迎えるのがいけないことなのか?お前らの言う、身分の良いものとはなんだ。現代社会、それだけじゃ通用しないのは、頭が残念なお前らでもわかるだろ……?』


こいつらの、魂胆はわかっている。


―己の利益が減るからだ。


『勝手に騒ぎ立てやがって……かつての巫女の家ではないんだ。貴様らは目障りなだけで、俺にとって価値もない。―消えてくれないか?』


ざわめく、秘密の間。


『ああ、そうか。消えることはできないか。なら、消してやらないこともないが……』


こいつらの判断で、俺たちは操られてきた。


多くの人間を葬り、この社会を勝ち進んできた。


―邪魔ものは、消す。


それが、彼らの決まり事。


だからこそ、ここまで御園が大きくなった。


『……違うな。お前らにとって、一番、困るのは……』


俺たちの危険でも、御園の崩壊でもない。


いや、後者は少しあるだろうが……今、この瞬間で彼らが困っていること。それは。


『大事に、大事に、育ててきた新しい駒に逆らわれちゃ、消えるしかねぇもんなぁー?』


幼い頃から教育を施した恩として、当主を操る彼ら。


『……陽介さまの時は、失敗した』


俺の祖父に当たる、御園陽介。


その前の当主であった、御園圭介が深く愛した妻との間に生まれた子供であり、両親の愛情は多くもらっていた。


とても優しく、強く、不器用な彼は、重鎮に育てられたことにより、当主になってからは何年か、彼らの操り人形だった。


しかし、運命的な出逢いを果たす。