「……相馬、悠哉と茅耶をひとまず、京子さんに預けても良いかな?」
「ああ、構わないが……」
今から行くところには、連れていけない。
もしもの時、大変なことになるから。
「私、お祖父ちゃんのところに行ってくる。大兄ちゃんに伝えなくちゃ……貴方は、一人じゃないんだよって」
置き去りにしたんだから……私だって。
兄を救いたい。
「そうだな」
相馬の、大きな、大きな、優しい手。
そんか私の頭を撫でるその手は、優しくて。
とても、優しくて。
頭の中から消えず、よみがえった疑問。
(どうして、儀式を受けちゃダメなの……?)
何となくわかっていても、怖くなる。
私に飽きたんじゃないかって。
疑いたくなんか、ないのに。
これ以上、この人の優しい瞳を。


