「しているんだよ。お前は、無意識に」
「へぇ……」
全く意味がわからないが、悪い意味じゃないならいいや。
開き直り、私は話の先を促す。
「政略結婚だったのは、知ってるな?」
ひいお祖父ちゃんの時代となると、50年はゆうに遡る。
その辺りなら、政略結婚なんて珍しいものではない。
「えっと……それは、お祖父ちゃんのお父さんである、藤島紀一が、でしょ?藤島美喜子は、第二夫人のはずで……」
詳しくはない。
でも、お祖父ちゃんのことはしらなくちゃならない。
何故、彼がそんなことをしたのか、とか。
調べなければ、知らなければ、対等にやりあえない。
「第一夫人と紀一さんは、相思相愛だったんだってね」
「恋愛結婚だったそうだ。二人の間には、雷紀さんが……沙耶のおじいさんであり、藤島グループの現総帥が生まれた」
相馬から聞かされる、すべて。
その時、彼が何を思い、判断したのか。
『許せない』
その思いだけでは、駄目だ。
そんな適当さが、人を傷つけるのだから。
『それはダメ。これは良い』
押し付けるのも駄目だ。
それは、人権を損なう。


