「京子が、沙耶ちゃんと楽しそうに話してたし、沙耶ちゃんの薬指には、指輪があったし」
「……観察眼、常人離れしてますね」
「そりゃ、一応、姫宮の総帥をやっているからね」
こういう大人が邪魔してくるから、二人きりの時間がとれないのではないだろうか。
こんなことを言うのもなんだが、仕事は明らかに多いはずなのに、何でこんなにも暇人ばかりが周囲にいるのか。
理由は簡単。
仕事を行うスピードが尋常ではないくらいに早いからだ。
「……双子、見に行くかい?」
「……行きます」
ここでフラフラしていても、暇なだけだ。
結局、片付けなければならない仕事はすべて片付けてしまったのだから、暇である。
だからと言って、こんなところでうろうろしておくのは、この人たちみたいで嫌だ。


