「……ねぇ、目を瞑って」
鶴は自分の涙を拭い、そう言った。
「え……?」
「もう、三途の川の向こうにつくから。一気に、送り出してあげるから。特別よ?私に気づかせてくれた……」
鶴が、言いかける。
刹那。
目映い光が、鶴に降り注ぐ。
「なっ……」
それに驚いていたのは、鶴自身。
簡素な格好から、お姫様の格好……十二単になった鶴は、自分の姿を見回して。
「なんで……」
彼女は、平安時代の姫君か。
「……これで、還れるね」
輪廻に還り、生まれ変われる。
さすれば、逢えるかもしれない。
神様は、わかってくれたのだ。
鶴は、良い子なんだって。
「でも……」
「……私は、大丈夫。ここからでも、一人で還れるわ。道標は、光があるもの。何より、還らなくちゃならない。……私、現世で鶴に会いたい」
双子にだって逢って、抱き締めたい。
鶴とだって、現世で友達になりたい。
「……あり、がと……」
震える声で、紡ぐ鶴。
「道は、逆だよね?なら、ここで、さよならだ」
残念だけど、仕方がない。
多分……ううん、絶対、私が生きていれば、彼女に会える。
彼女は、忘れているかもしれないけれど……それでも、私が探しだそう。
手を広げて見せると、鶴が飛び込んできた。
抱き締めあって、笑い合う。
「……生まれ変わるなら、貴女の娘が良いな」
「えー?」
双子の他に、私が生めるだろうか。
夢通りなら、あと、五人いるのだが。
「まだ、若いんでしょ?なら、私の来世を生んでよ」
「んー、相手がいたらね」
無茶な注文のような気がするけど、鶴はこれくらいが良い。
「なんて。……まぁ、無理だったら、親友になれるように生まれ変わるわ」
鶴が生まれ変わったら、名前は何になるだろうか。
私、だったら……
「じゃあ、またね」
「……うん、また、会おう」
いつか、会える。
お互いに、その確信があったからなのか。
私達は、笑顔で別れた。
そして、この時から、11年後。
私達は、希望通りの再会を果たすことになるんだ。


