【完】☆真実の“愛”―君だけを―2




「貴女は、後悔しちゃ駄目よ」


「え……?」


「私は、後悔したわ。ここに来て……終わりなきなかで、人を裁き、送り出す。それだけのことが、こんなにも辛いのよ。だから、貴女は後悔しちゃ駄目よ」


「ッ、」


鶴は、やり直せないから。


裏切って、嘘ついて、失恋して、絶望して。


苦しみのなかで、命を絶った人。


「貴女を愛してくれる人たちを、貴女は、裏切ってはいけないわ。折角、生きられるんだから。命を、持っているんだから」


私の頭を撫でる手は、こんなにもあったかいのに。


どうして、こんなにも理不尽なのだろうか。


「泣かないでよ、お願いだから」


浮かんだ涙を、荒く拭う。


そして、鶴の手を掴んだ。


「今度生まれ変わったら、鶴は幸せになるわ!私が保証する!」


「え……?」


「絶対に、幸せになるわ!私が、私、……っ……」


何も、言えない。


彼女の来世なんて、見えないのに。


幸せになってほしい。


それだけで、私はこの言葉を口にする。


「大丈夫、だから……鶴は、優しいもの……」


自分の額を、鶴の手に押し当て、私はうつむいた。


「……人のこと、蹴ったくせに」


涙が、下に落ちる。

でも、落ちた先は、地面なんかじゃなくて。

真っ白な、何もない白紙の世界。

上から聞こえた、そんな声は震えていて。


「私、罪を償っているんだって、思っていたわ。ここで、ずっと……本当に、終わりなきなかで、人を送り出すんだと思ってた。永遠に、そう、永遠に。……でも、違うのね」


握っていた手は離され、代わりに、私の頬に鶴の手が触れた。


「貴女のお陰で、見つけられた気がするわ」


私と同じように、泣く鶴。


「私の罪は、人を裏切ったことでも、嘘をついたことでも、無いんだわ……」


私達は、どうして失わなければわからないんだろう。


もう少し、もう少し、早くに判っていれば失わずにすむのに。


どうして、いつも、事後になるのだろう。


「私の罪は、私を愛してくれている人を、哀しませたことなのね……」


こんなにも、暖かいんだよ?


触れられるんだよ?


でも、私と鶴の間には、見えない大きな壁がある。