「じゃあ、ちょっと診るね」 脈とか診る限り、通常の人間と変わらない。 さっきから呼吸が浅いのは、何か、沙耶ちゃんの身に合ったからだろう。 それも、精神世界で。 だって、肉体はここにあるのだから。 「…………時間を、置いてみようか」 確信があった。 沙耶ちゃんは死なない、と。 でも、息苦しそうに苦しむ沙耶ちゃんと、それを震える手で抱き締める二人を救う術は、今の僕にはなくて。 「春兄さん、ちょっと来て」 僕は、春馬と共に静かに病室を出た。 心優しい兄同然の彼の顔は、悲しそうに歪んでいて。