「『どうやったら、はるくんはうちのほうを見てくれる?うちを愛してくれる?あの女がいなくなったら?でもな、うち、はるくんの悲しむ顔はみたくないんよ』……ゾッとした。この女はもう、俺らの知っている、美しく気高い女じゃない。ただの、色恋に溺れた、壊れてしまった、この家の欠陥品だって」
そんなことを思い、なるべく、陽希おじさんや魅雨と会わせないように、父さんは動いた。
結果、薬を盛られ、身代わりにされ、総一郎兄さんが生まれた……。
「ごめん……俺に、もっと、力があれば……和子を止めながら、あんなことにならないように動く頭があれば……こんなことには、ならなかったのに」
懺悔する、父さん。
「……それだけやないやろ?まだ、もっと、話の続きがあるはずや。話してほしいんやけど」
総一郎兄さんと私が生まれたからといって、ちゃんちゃんではない。
何となく、相馬が忌み嫌われたであろう、原因と理由はわかっている。
陽希おじさんに執着していたというのなら……
「僕が、24の時、相馬が生まれた。完全に狂い、壊れていた和子はその時から俺のあとを追いかけ、俺のことを『はるくん』または、『陽希』と呼んだ」
父さんは、否定しなかったという。
「京子が生まれたときからだった。最初は違うっていっていたけれど……『なんで?そんなつまらん嘘をつかんで。はるくん、はるくん、何でうちから離れていくんや?なぁ、こんなにも好きなんや。離れていかんで』……指摘する度にそういわれ、段々、指摘するのも疲れていったんだ」
相馬が生まれたばかりの頃、和子は仕事で大きな案件が入り、そちらに付きっきりになった。


