「……直樹さん、沙耶に輸血するとき、俺の血を使ってください」
「え……?でも、沙耶はO型で、君はA型だろう?逆に、ショック死を引き起こす……」
戸惑うのは、当たり前。
だって、人の理は“そう”だから。
「普通の人間ならそうですが。俺と沙耶は、大丈夫です。この世の理とは関係ない世界の力を使うのだから」
毒を盛られた夕蘭のときだって……そばにいれば、助けることはできたんだ。
そばにいれば……
俺が、夕蘭の嘘を信じなければ。
夕蘭を見て、夕蘭を信じてあげていれば、最期に彼女のそばにいることができたんだ。
あの時は、ただ、不安で。
同じ時を、世界を、同じ命で生きられないという、定められた未来が先にあることを思うと、全身全霊をかけてまで、夕蘭を愛せなかった。
本能のままに愛していたら、お互いが壊れていた。


