【完】☆真実の“愛”―君だけを―2



娘の沙耶も、そこは健斗に似たらしく。


誰もまだ、来ていない病室で仮眠し始めた桜を見届け、俺は隣の病室をノックした。


「……どうぞ」


中からの許可を貰い、入れば。


「やっぱり、父さんの言う通り、気づいてたんですか……」


「健斗に情報の扱い方を教えたのは、俺だぞ?わからないはずがない」


お腹の大きな、沙耶がいた。


「おかしいと思ったんだ。やけに、直樹がここに出入りしているらしいし、何より、柏原奈櫻は健斗の母親の名前だろ?もう、この世にいねぇはずだし、奈櫻なんて名前のやつはたくさんいても、奈櫻っていう字はあんまり使われることはないだろ?」


困った顔をする沙耶は、すでに父親から俺が情報をつかんだことを聞いているらしく。


「あの……」


「安心しろ。お前の言いたいことはわかってる。相馬に言うなと言うのだろう?だが、これから、みんな集まるぞ」


何せ、隣の部屋だ。


バレる可能性が高いと思うのだが。


「ふふっ、ここ、特別な階ですしね。プライベートなところっていうか……桜と紗夜華さんがここにいるのもそれが理由でしょう?だから、私はバレないように、直樹さんに“御願い”したんです」


沙耶は頭がキレる方だ。


男に生まれていたら、健斗の跡を継いだであろう。


「私を、姫宮グループの遠い親戚の娘ということにしてほしいと。快く、承諾してくださいましたよ」


その場の状況判断から行動に至るまで、沙耶は健斗を彷彿とさせる。


おまけに周囲の人間によれば、彼女が怒ると、薫を彷彿させるという。


そんな、奇跡的な存在。


何でもでき、美人で、性格も良い。


そんな彼女の命は、もうすぐ尽きる。