「えっと、3年13組の沢村美亜(さわむら みあ)って言います!」


「同じく、13組の末松楓(すえまつ かえで)です。陸上部です」


「13組の氷川亜優葉(ひかわ あゆは)です。放送部です」


「13組の白橋沙名(しらはし さな)です!お会いできて、光栄です!」



ツインテールの女の子、ショートカットの女の子、セミロングの女の子、ショートカットの女の子の順で名乗られ、特に、最後の言葉に面食らった。


「……ん?沙名ちゃん、なんて?」


「ですから、お会いできて、光栄です!と。ってか、名前呼ばれた!」


顔を手で覆って、キャーと言う彼女たち。


(んんん……?)


状況についていけない。

振り返っても、別に、薫たちがいるわけではなく。


「んーと、もしかして、目的は私?」


「いや、おそっ!」


彼女たちのお会いできて~は、私に言った言葉らしい。


「……同じ、学年、だよね?」


「はい!校舎が離れてて、お会いする機会がありませんが!」


「……敬語じゃなくて良いよ。沙耶って呼んで……」


ここまで、人に敬られるのは初めてだ。


家関係でも避けまくっていたし、学校なんて論外だったから。


「今回の成績、すごいですね!そこで、お願いがあります!」


敬語は、続けるらしい……が、まさか、お願いって……


「勉強?教えよっか?」


横で、柚香がそんなことを言った。


「「「お願いします!」」」


亜優葉ちゃん以外が、勢いよく頭を下げる。


チラリ、と、視線を投げれば。


「私、赤点ではありませんから……」


と、言われた。


なるほど、追試か。


瞬間、脳内が切り替わった。