「お、お借りしまーす」 「おう」 逆らうと、怖い。 なんか、体がそう言った。 なので、おとなしく、お借りする。 正直、千歳に借りて返せば、あの父親の顔も家族の顔も見なくてすむのだ。 清々する。 それだけ、嫌いなの。 あの父親も、母親も。 子供は親がいないと生きていけない。 でも、だからといって、子供は親の道具じゃない。