【完】☆真実の“愛”―君だけを―2



『……こーら、不安にならないの。貴女の傍には、止めてくれる存在がいるじゃない』


これからの未来が怖くなって俯くと、沙羅さんが苦笑しながら、私の頭を小突いた。


『そうよ。飛鷹が、いてくれて……』


そうだ。飛鷹がいてくれる。


何をしても、傍には、飛鷹が……。


『……でも、私のせいで、飛鷹が怪我をして……』


『『……』』


『私、無知のせいで、何もできないんです。生まれたときから、記憶があれば、良かった、んですけど』


飛鷹みたいに、記憶があれば。


あったら、分かち合えたはずだ。


『……良いものじゃないからね。隠したかったんだと思うわよ?』


『沙羅さんの人生、そんなにひどいんですか』


『んー、ひどいね。享年、18だし』


さらっと告げられた言葉に、思わず、息を呑む。


『っ……』


『……やだなぁ。そんな顔、しないで?そうしなければ、いけなかったんだし……それだけで、数多の人の命を救えたんだもん。良いじゃんか。それに、ねぇ?』


沙羅さんの死が、数多の人を救ったのか。


どんな、人生なんだ。


『……っ、紅鈴、さんは?』


ちょっと怖いが、訊ねる。


『私は、長生きしたわ。享年、んー、85?だっけ』


すると、のんびりとした口調で、答えた。


『皇后、って、立場にいたんですよね?』


『そうそう。大燕鳳帝国の中で、一番高い女性の身分ね』


『私の時は、皇太后陛下がいらっしゃらなかったからね。燎飛様の母上が……』


訊ねると、それに沙羅さんが説明を付け加えてくれ、紅鈴さんも笑って、言った。