「遅かったじゃないか」


多くの人間が、集まっていた。


「お久しぶりですね、皆さん」


普段なら、会うことのない人達。


頭を下げれば、彼らは微笑んだ。


俺達の親世代……蒼繚華を運営する、長たちが。


「報告を聞いたが……大丈夫か」


パッと見は、童話の王子様のような容貌をしている、蒼繚華学園高等部校長、瀬戸瞬。


とてもじゃないが、齢、30には見えない彼は、桜の戸籍上の父親であり、桜の母親である、鳴海美桜の信頼なる、元後輩である。


フランス人のクォーターであり、髪色は金髪という、本気で王子様に見えなくもない、容姿である彼は、心配そうに尋ねてきた。


「大丈夫です。正直、ハッキリしたことはまだ、分かりませんが……沙耶が、説明してくれるそうですし。……できるな?」


「ん。大丈夫」


「よし」


沙耶の頭を撫でれば、沙耶はくすぐったそうに目を閉じる。


「辛かったら、すぐに言ってね?」