【完】☆真実の“愛”―君だけを―2



「逃げないでよ。……折角、迎えに来たのに」


始まりの巫女。


それは、私だった。


相馬の前世に愛され、愛し、幸せな記憶がいっぱいあって……その反面、悲しいこともたくさんあって。


分かってた。


わかっていた、はず、だった。



『忘れろ、沙耶。思い出すな、お前は……っ』



……相馬が隠したかったのは、この人の存在?


「まぁ、いいや。……思い、出させてあげる」


やめて。


誰か、助けて。


思い出したくないの。


誰か、誰か、誰か、誰か……



「……た、す……」



青年の手が、私に伸びる。


顔に覆い被さろうと、近づいてくる。


「……ヒッ、やっ……やめっ……」


怖い。


ここまで、恐怖を感じたことなんてない。


どうして、私は……こんなにも。


「……助けてっ!」


こんなにも、無力なのだろう。