□沙耶side■



失態を晒した。


泣くつもりはなかったのに、あふれでる感情が暴れて。


私には、力がいる。


大切な人たちを守り抜く力を。


今すぐ、手に入れたいと思ってしまう。


それは、いけないことなんだろうとわかっている。


だけど。


だけど。



『沙耶、笑え。気にせずに、幸せになれ。お前にそんな顔をしてほしくて、親父は死んだんじゃない』


何度も、繰り返された兄の言葉。


“ごめんなさい”……そんな言葉ですむものじゃない。


“ごめん”ですんだら、警察はいらない。