むかしむかしの話だよ。 一人の少女が恋した相手は、 何も持たない一人の青年。 ―それでも、妾にとっては最高の人じゃった― 月が照らす。 闇を暴く。 そのもとで静かに瞳が交差する。 触れあい、生まれた熱を抱いて、 少女たちは永遠の時に降り立ちた。 ―ねぇ、知ってる?― ―なぁに?― ―むかしむかしの話だよ…― 静かに眠る佳人のもとに、 薄紅色の花が咲きました。