「……お前、誰だ?」 童子は、クスクス笑うばかり。 「内緒。……でも、また、会えるもん。って、そんなことより、手遅れになるよ?」 空気が、違う。 笑い方が、違う。 この童子は…… 「……っ」 風が吹いた。 強い風に目をつむり、次、開いたときには…… 童子はいなくなっていて。 “手遅れになるよ?” 代わりに、この言葉が頭のなかで、警報のように鳴り響いていた。