「……力、使うの?」 小さな、童子。 先程まで、いなかったはずの童子は俺を見て、ニコリと微笑む。 赤い傘に、赤い下駄、赤い瞳に、赤い花。 狐のお面に、鈴をつけ、カラン、コロン、と、彼女は歩く。 「まだ、だよ?今、使っちゃったら、大変なことになるよ。巫女を、守るんでしょ?」 何でも見透かすような、瞳。 十歳前後の童子は笑い、 「目覚めたね」 そう言った。 俺には、到底、理解できなくて。