【完】☆真実の“愛”―君だけを―2



「……あくまで、お前たちが狙われるんだ。肉体的に通じる相手じゃないからな。気を付けろ」


「ええ。薫たちも、無茶しちゃダメよ?」


巫女が狙われる。


即ち、巫女を守る立場である彼等も狙われるということだ。


誰にも、傷ついてほしくない。


朝陽の死を、相馬のお陰で違う視点から受け入れるようになってから、そう考えるようになった。


誰かのために、死ぬということ。


そんなことは、あっちゃいけない。


もう二度と、見たくない。


だから、激励も込めて、微笑んだ。


すると。


「懐かしいな……」


そう言って、珍しく、薫も笑う。


「夕蘭も、同じようなことを言っていた」


似ているようで、違う存在。


彼らが愛した、前世の私。


いつかは、追い付くことができるだろうか。


「そっか」


薫たちが尊敬する、夕蘭に。


巫女の始まりの夕蘭に。


相馬の中の、“彼”が求める夕蘭に。