「……あくまで、お前たちが狙われるんだ。肉体的に通じる相手じゃないからな。気を付けろ」
「ええ。薫たちも、無茶しちゃダメよ?」
巫女が狙われる。
即ち、巫女を守る立場である彼等も狙われるということだ。
誰にも、傷ついてほしくない。
朝陽の死を、相馬のお陰で違う視点から受け入れるようになってから、そう考えるようになった。
誰かのために、死ぬということ。
そんなことは、あっちゃいけない。
もう二度と、見たくない。
だから、激励も込めて、微笑んだ。
すると。
「懐かしいな……」
そう言って、珍しく、薫も笑う。
「夕蘭も、同じようなことを言っていた」
似ているようで、違う存在。
彼らが愛した、前世の私。
いつかは、追い付くことができるだろうか。
「そっか」
薫たちが尊敬する、夕蘭に。
巫女の始まりの夕蘭に。
相馬の中の、“彼”が求める夕蘭に。


