【完】☆真実の“愛”―君だけを―2



「沙耶、」


「ん?」


語尾を誤魔化していると、千歳が、キーホルダーを渡してきた。


「やる。もっとけ」


水色のリボンに、銀色のリング、その他にもキラキラとしたものがついていて、とても可愛い。


だが、普通、こういうものは……


「お、おう?って、こういうのは、柚香に……」


彼女にやるべきである。


すると、彼女本人である、柚香にも


「いいから。沙耶が持ってて」


と、言われてしまった。


「御愁傷様」


何故か、あわれんでくる薫。


「じゃあ、持っとく」


よくわからないまま、それをつけると。


「相馬から、伝言」


千歳が携帯を開き、読み上げた。


外では、生徒がどんどん講堂に入ってく。


「いや……行かなくて、良いの?」


「私は行かなくちゃだよ!ってことで、無茶はダメだよ!沙耶!!」


「……はーい」


幼馴染みからの信頼、なさすぎじゃね?


なんか、自分に悲しくなる。


「千歳、そのメール、私に送って」


柚香についていきたそうな千歳の肩を叩き、澪が微笑む。


「私達も、サボるからさ」


「色々、言いたいが……礼を言う」


そう言って、千歳は柚香の後を追いかける。


暫くすると、澪のスマホがなった。


「えーっと、『今日の夕方、迎えに行くから、家にいろ』だってよ?」


「……はい?」


「因みに、お怒りモード」


「えぇ!?私、なんかしたっけ!?」


少なくとも、三月の初めに別れてから、なにもしてない……はず。一つしか、思い、当たらない。


「……いや、倒れたことじゃね?」


光輝が、至極冷静に言ってくる。


「でも……私、一言も言ってないよ?倒れたこと……誰か、相馬に言っちゃった?」


「いや……黙ってろって言ったろが。お前」


「言ってないよー」


「そもそも、相馬と会ってないしな」


確認するけど、皆、言ってないと言う。