二人で話ながら、ため息をついていると。
柚香ちゃんの彼氏君、登場。
「沙耶、柚香」
「おー、ごめん、千歳。柚香、借りてた」
「いや、んなことより……」
(そこは、重要じゃないの?)
心の中で思わず、突っ込む。
そう言えば、千歳は基本的にベタベタしないタイプだと聞いている。
柚香もそういうことされるのは苦手な方だから、まぁ、良いカップルなんだろう。
チラリ、と、千歳が視線を彷徨わせたのを見て、柚香は勢いよく、立ち上がった。
「忘れてた!」
周囲を見渡せば、誰もいない……否。
「沙耶、始業式」
「ああ」
薫たちがいて、私は、ポンッと手を打った。


