「本来ならばここで、地面に落ちた相手の顔面を踏み砕く」

ヴラドを見下ろしながら、闇夜が言う。

「城山流は合戦場での無手術だ。降参の言葉を待たずに骨を折り、絞め上げて窒息させる。全ては息の根を立つ事前提だ」

「くく…くくくくくく…」

右腕を押さえたまま、ヴラドは片膝をついて立ち上がる。

笑っている。

「よもや人間に、この俺の腕が折られようとはな…極東の小さな島国と馬鹿にしていたが、成程成程…訪れてみるものだ。人外以上に強い人間がいようとはな」

その右腕が。

「!!」

メキメキと音を立て、瞬時にして再生した。

骨を折られた程度で、真祖の肉体は破壊される事はない。