そう告げて歩き出して。

「あ」

沖田は思い出したように、肩越しに斎藤を見る。

「お分かりだと思いますけど、団長には今後も僕が維新政府の密偵だという事は御内密に…密偵が密偵である事を知られたら、密偵じゃなくなっちゃいますから」

「それは」

斎藤が真っ直ぐに沖田を見る。

「知られれば、団長の傍にいられなくなるからか。団長に忌み嫌われ、避けられる事が怖いからか」

「……」

笑みを浮かべて黙したまま。

沖田は何も語らない。