「ライジングドラゴンッ、ナッコォオォォオオォ!」

ドシン!と。

大きな音を立てて打ち込まれた拳で、木の幹が揺れる。

「おっしゃ、打ち込み百本終了っと…」

息を乱しながら、リュートは汗を拭った。

「次は…勇者…ぜぇ…精霊拳の…稽古だな」

何せこの気温だ。

水分補給もしたいし、かといって呼吸は上がるし。

時折息を整えながら、持参したスポーツドリンクをがぶ飲みするリュート。

「よっしゃ…ふぅ…再開すっか…はぁ…」

深呼吸ももどかしく、彼は構える。

「はぁ…ぜぇ…ぜぇ…」

整わない呼吸のまま。

「勇者っ…えいれい拳っ!」

始動キーを口にするものだから、噛んだ。