「い、いや…その、だな、ティグ」

リュートの狼狽が激しくなる。

別に、告げ口した事で仕返しされるのが怖い訳ではない。

ティグルの気配が怖い訳でもない。

怖いのは、この後のティグルの行動だ。

…彼は家族想いの、優しい青年だ。

家族を傷つけられる事を何よりも嫌う。

もしタンポポやリプニー、そしてリュートが誰かに傷付けられる事があれば、彼は絶対に許さないだろう。

己の危険を顧みずに傷付けた者を探し出し、それ相応の償いをさせる。

それが言葉での謝罪をさせる程度に留まればよし。

しかし相手が悪びれもしなかった時は…。