そんなリュートに対して。

「もうへたばったか?小僧」

声が聞こえる。

…目の前の教室、その中からだ。

「…ここが自警団の本部になっている教室です」

古奈美が言う。

「無理する事はないんですよ、リュート君。一旦退いて、後日改めて団長と面談したって構わないんです。リュート君は立て続けに戦っていますから…」

「無理もしてねぇし、へたばってもいねえ!」

勢いよく立ち上がるリュート。

「リュート殿」

天井裏から佐助の声が聞こえる。

「自警団の追っ手は、俺が確実に防ぎます。リュート殿は後顧の憂いなく」

「恩に着るぜ。でも、たまには面出して話せよな」

苦笑しながら、リュートは本部の引き戸を開いた。