「カケル?」

窓の外から景色を確かめようと思ったが、


ベットの横の小さなイス……

そこには腕を組んだまま眠っているカケルがいた。


お世辞にも、整っているとは言えない顔。

日焼け跡、少しだけ長いまつげ、血色の悪い唇……

カケルの顔のすべてが私を掻き立て、

ただただ、愛おしい。

一晩中、一緒にいてくれたのかな?

カケルの髪や服の乱れ具合からすると

そうだろうなと推理して、勝手に胸が苦しくなる。

だが、心の奥底に悲しい出来事を閉じ込めて、

無知なふりをする。


私は本当に何も知らないのではないかと

自分自身を閉じ込め、そんな錯覚に陥る。



ふと、考えが浮かんだ。

声を出してみよう。