「ふんっ、お前は文句なしに泳ぎ方が面白いよ。」

何よ“文句なし”って!

カケルはいっつも意地悪だ。

そんなことを思いながらいつもいつも心の中では

ホッコリとした気分になり、

頬がというより顔全体が熱くなる。

世間ではこれを胸きゅんと言うのだろう。


「カケル、″この″私をバカにしてるの?」

私は腰に手を当てて言った。

だが、カケルはピクリとも動かなかった。

「いや、お前の平泳ぎとクロールが犬かきに

見えるなんて全く思ってない。」

カケルは真顔で台詞を棒読みした。