【短】だから、きみはずるい。




食い気味にはっきりと拒否した拓麻の大声が、昇降口に響く。



ダメ?


なんで?




「それだけは、絶対無理」



なんでそこまで、強く拒むの?


チク、と胸に小さな刺が刺さったような痛みを感じた。



拓麻だって、一緒に帰りたがってたじゃん。


わたしにベタ惚れだって、のろけてたじゃん。


それなのに、なんでよ。



好きだけど、好きだから、わたしが邪魔なの?




……だったら、最初からそう言ってよ。


邪魔なら邪魔だって。



結局わたしの方が我慢してるこの現状は、もううんざりだ。