昇降口には、部活に所属している生徒が集まってきた。
もうそろそろ、拓麻も来るかな。
「はぁ~、またナナと帰れなかった……。ショック」
この声は……!
下駄箱の影に隠れながら、声に誘われて、昇降口前廊下を見る。
そこには、バンドメンバーと共にこちらに向かっている、拓麻の姿が。
やっと来た。
遅いよ、待ちくたびれた。
さて、どう驚かせてやろうか。
「ナナって、例の彼女?」
「そうそう。すげぇ可愛いんだぜ?写メ見る?」
拓麻が誇らしげに、スマホでわたしの写真をバンドメンバーに見せびらかす。
ちょっ、なに勝手に人の写真見せてんの!?



