【短】だから、きみはずるい。




別に、我慢はしてないよ。


これがわたしなりの優しさなだけ。



なのに、追いかけてきちゃったら、わたしのせっかくの優しさが早くも無駄になっちゃうじゃんか。


どうしてくれるの。




「待てって、言ってんだろ!」



片腕をグイッと引っ張られ、強引に引き寄せられる。


夕日に照らされたわたしの表情は、きっと不格好に歪んでる。



拓麻が追いかけてくれて、不覚にも、嬉しかったから。



「拓麻はわたしが鬱陶しいんでしょ!?」


「ちっげぇよ!」



拓麻の両手が、わたしの両頬に触れる。


大きくて、温かくて。


顔が、熱くなる。



「邪魔とか鬱陶しいとか、んなこと思うわけねぇじゃん」