少し小走りで帰路に着くと家には入らず、隣の陽音の家に行ってチャイムを押す。
…が、誰も出てこないので遠慮なく合鍵で失礼させてもらった。
陽音は基本的に来訪者が来ても応答しないのでおばさんがいないときは勝手に入って、と合鍵を渡されたのだ。
そっと2階に上がって陽音の部屋に入ると、ベッドに寝ている姿があった。
近づいて陽音をのぞき込むと、手に写真をにぎっているのがみえた。
「これ…」
入学式のときのだ。
私は人見知りだから高校生活がすごく不安だった。
入学式前にうじうじしてた私の頭を陽音がなでてくれたっけ…
「やっぱり私、陽音がいないとダメだなぁ…」
あんなかっこいい人といたのに、寂しくなっちゃうんだもん…


