~陽音side~
…またやっちゃった…
いつもこうだ。ヤキモチ焼くとイライラして当たってしまう。
…瑠衣、怖がらせちゃったよな…
先に帰ってきたものの、瑠衣が心配になってきた。
やっぱり、瑠衣を一人で帰らせたくない、と思って来た道を戻った。
「あのクソ男といるのは見たくねぇから、正門で待っておくか…」
そう決めて正門から中を覗いた。
「…っ!」
俺は正門の柱の陰に身を隠した。
だって…
瑠衣とあの男が一緒に楽しそうに話しながら帰っていたから。
瑠衣は俺に気づかずに正門を通り過ぎる。
「…戻って…こなきゃよかったな…」
自然と手に力が入り、爪が手に食い込んだ。
一緒に帰ってたってことは、瑠衣を家まで送る気なんだよな…
俺は二人が一緒にいるのを見たくなさで、遠回りをして帰った。


