―1日の日程が終わり、みんなが帰り支度をする中、私も帰る準備をしていた。
「ねぇ、鞍瀬さん」
「ん??なにー??」
倉科くん、どうしたんだろう…??
「…やっぱり、覚えてないか…」
倉科くんが寂しそうに俯いた。
え?
覚えてないって…
「ねぇ、6歳のときのことって覚えてない?」
「6歳…」
んん、何かあったっけ…
頭を捻らせていると、
「…瑠衣、帰るぞ。」
不機嫌モードの陽音が声をかけてきた。
「え、あ、うん…」
慌てて帰ろうとすると…
「待ってよ!」
倉科くんに腕をつかまれてしまった。
「く、倉科くん…?」
「もうちょっとだけ、話したい…」
子犬のような目で見られた。
きゅんっ
何この子かわいい…!
私が内心できゅんきゅんしていると、
「…」
黙っていた陽音は、踵を返して帰ってしまった。


