声のした方向へ視線を向けると、
「部長…」

考えていた当の本人が目の前にいた。

「やあ」

手をあげてあいさつをした部長に、
「こ、こんにちは…」

私はあいさつを返した。

「まさか、こんなところで君に会えるとは思ってもみなかったよ」

「そうですね、私も驚きました…」

考えていた当人が目の前に現れたんですから、いろいろな意味で驚きました。

「南くんは?」

「私は買い物です、それじゃあ…」

会釈をしてこの場から立ち去ろうとしたら、
「僕も買い物にきたんだ」

部長が言った。

「えっ?」

そう聞き返した私に部長は手を差し出すと、
「君がよかったらだけど、一緒にどうかな?」
と、首を傾げて言った。