なにをやっている部署なのかよく分からないし、そんなところになぜ自分が・・・

異動したくありません、と部長に言うだけは言った。
話を聞いた部のメンバーも、憤慨して抗議してくれたけれど、上の決定は上の決定だ。

自分が組織にとって、ただの駒にすぎないと思い知らされただけだった。

別れなければならないのだ。
慣れ親しんだ住宅環境部と、そして働いてきた仲間と。

最後の日、ねぎらいの言葉とともに花束を渡されると、子どもみたいに郁の目からはぼろぼろと涙がこぼれた。

そんな自分の肩を叩いて励ましてくれるみんなの優しさを思い出に、郁は住宅環境部を去ることになった。