名は確か、白石 諒(シライシ リョウ)。

社のメインバンクの頭取の息子。当然のように、帰国子女で語学堪能な国際派で、旧帝大卒で、とそのプロフィールはきらびやかに彩られている。

おまけに高身長で、容姿まで端麗ときている。通称は “御曹司”。
年齢は、郁より一つ年下だったか・・・

花形の海外事業部にいくだろうという周囲の予想に反して、誰の意向か、新規事業開発部配属となった。
聞こえはいいけれど、実態は窓際の集まり、と陰口をたたかれている部署だ。

そんな部にあって、白石諒は評判に違わぬ優秀さを発揮し、すでに肩書きはマネージャーになっている。

とまあ、部署の違う郁でもこれくらいのプロフィールは耳に入ってくるほどの有名人だけれど、正直雲の上の人すぎるし、興味はわかなかった。