俺様御曹司とナイショの社内恋愛

意味を考えるのはやめて、とにかく機械的に目を通してゆく。

好きな男性芸能人、理想のデートプラン、言われてみたい告白のセリフ、もらって感動したプレゼント・・・

その日の午前中、郁は女性の欲求というものにめいっぱい付きあった気がした。




資料読んでどうだった。

ランチの席につき注文をするなり、白石はそう聞いてきた。

「なんだかちょっと、虚しくなりました」
郁は正直に答えた。

ふむ、白石はまっすぐこちらを見ている。眼光が鋭さをおびている気がする。

「虚しく、っていうと?」

「みんな、その、やっぱり色んな夢だったり望みだったり、理想だったりあるわけなんですけど、それってなかなか叶わないし。特に恋愛は、難しいですね」

「難しい、か」
白石が思案をめぐらせる表情を浮かべる。