意味を考えるのはやめて、とにかく機械的に目を通してゆく。
好きな男性芸能人、理想のデートプラン、言われてみたい告白のセリフ、もらって感動したプレゼント・・・
その日の午前中、郁は女性の欲求というものにめいっぱい付きあった気がした。
・
資料読んでどうだった。
ランチの席につき注文をするなり、白石はそう聞いてきた。
「なんだかちょっと、虚しくなりました」
郁は正直に答えた。
ふむ、白石はまっすぐこちらを見ている。眼光が鋭さをおびている気がする。
「虚しく、っていうと?」
「みんな、その、やっぱり色んな夢だったり望みだったり、理想だったりあるわけなんですけど、それってなかなか叶わないし。特に恋愛は、難しいですね」
「難しい、か」
白石が思案をめぐらせる表情を浮かべる。
好きな男性芸能人、理想のデートプラン、言われてみたい告白のセリフ、もらって感動したプレゼント・・・
その日の午前中、郁は女性の欲求というものにめいっぱい付きあった気がした。
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資料読んでどうだった。
ランチの席につき注文をするなり、白石はそう聞いてきた。
「なんだかちょっと、虚しくなりました」
郁は正直に答えた。
ふむ、白石はまっすぐこちらを見ている。眼光が鋭さをおびている気がする。
「虚しく、っていうと?」
「みんな、その、やっぱり色んな夢だったり望みだったり、理想だったりあるわけなんですけど、それってなかなか叶わないし。特に恋愛は、難しいですね」
「難しい、か」
白石が思案をめぐらせる表情を浮かべる。



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)