「彼女に、会えたか?」

「ああ。初めて、声を聞いた」

「そうか」

「聞き覚えのない声だった、多分」

 断言はできない。

 確かに、聞いたことがない声のはずなのに。

「よかったな」

「え?」

「声を聞かせてもらえたということは、少なくとも悪いものじゃないだろう?」

 自分には害はないということだろう。

 では、何故彼女は自分だけには見えるのだろう。

 自分だけに姿を見せている意味がわからない。

 明日、明後日とあと2日だ。

 彼女が現れるのも本当にその2日だけだろうか?



 6日目。

 同じ時間に彼女は現れた。

 今日の服は、昨日と変わらないのに、髪型だけが違った。

 下ろしていた髪を今日は一つにまとめている。

「どうぞ」

「ありがとう。そして・・・ごめんね」

「え?」

 昨日と同じ一言。

 それに加えられた言葉。

 謝られる理由がわからない。

 彼女に特に何かされたわけでもないのに。