「んーー、疲れたーーー」

すっかり暗くなった外に出て、今日の仕事の疲れをしみじみと感じていると、

「柊木さん」

名前を呼ばれたので、振り向くと、そこには、今朝ニュースでとりあげられていた人物、羽衣 雪人が立っていた。

「久しぶりだね、柊木さん、全然連絡くれないので会いにきてしまいました」

そう言って微笑むと、雪人は陽のほうへ歩みを進めた。

「えっっ、ど、どうしてっっ、!」

(どうして私の職場・・)

そこまで考えて、陽は、病室で雪人が言っていた言葉を思い出した。

「社員証、、、」

「その通りです!あなたの勤め先は、あのときに知ってしまいましたからね」

悪びれる様子もなく、まるで何も悪いことをしていないかのように雪人は言った。

「それで、?どうして連絡してくれないんですか??」

雪人が不思議そうにそう尋ねると、

「連絡するわけないじゃないですかっ、羽衣さんっ、あの日わたしに何をしたのか忘れたんですかっっっ、、」

負けじと陽が言うと、

「何って・・、キスのこと??」

けろっとした顔で雪人は答えた。

「〜〜〜っっっ////」

その言葉を聞いた途端、陽は顔を真っ赤にして俯いてしまった。

その様子を見ていた雪人はニヤリと笑って

「可愛いなぁ、柊木さん。
そんなに顔を真っ赤にして、またキスしたくなりますね。」

そう言って一歩ずつ近付いてくる雪人に陽は、

「さいっっっていです!あの日、助けてくれたことは感謝しますが、それ以外は、わたしはあなたのことがだいっっきらいです!」

そう言い放つと、陽は早足に雪人から離れていった。

その場に残された雪人は、

「・・最低、大嫌いか。ふふっ、柊木 陽、面白い女性ですね」

と呟いた。