「っ、ご、ごめんなさいっっ」

陽は慌てて雪人から目を逸らした。

(な、なんだろう、、羽衣さん、すごく、、女性に慣れてるような感じがする"、、)

雪人はそのおろおろした陽の行動を見て、

「ははっ、面白い方ですね、柊木さんは」

と声を出して笑って言った。

(お、おもしろい・・??")

雪人の言葉の意味がわからず、笑っている雪人を見つめていると、

「・・ほら、またそうやって・・
僕は先ほど、ちゃんと忠告しましたからね。」

そう色っぽく口角を上げると、雪人は陽のベッドに片手をついて、ゆっくりと顔を近づけた。

(えっ)

陽は自分に迫ってくる、その美しい顔に、突き返すことも、言葉を発することもできず、
まるでスローモーションのように感じられる今の状況に頭を追いつかせるのに精一杯だった。

そして、

今の状況に頭が追いついたときには、雪人の唇が陽の唇に重ねられていた。

「んっ、!」

雪人は触れるだけのキスをすると、いたずらな笑みを浮かべて、

「ごちそうさまです」

そう言って、ポケットに入っていた黒の名刺ケースから名刺をとりだし、

「僕、柊木さんのこと気に入ってしまいました。ここに僕の名刺を置いておきます。登録しておいてくださいね」

名刺を布団の上に置くと、扉のほうへ歩いて行き、

「じゃあ、また」

にっこり笑ってそう言うと、雪人は静かに扉を閉めて帰って行った。