「・・・ん、んー、、、?」

辺り一面に広がる白い天井、ツンと鼻につく薬品の匂い。何人かの足音。

(・・・ああ、ここは病院か、、)

しばらく考えると、ここが病院であることに気づいた陽。

(・・わたし、、、)

「っっっ!!!!!男の子っっ!!!!!」

そう言って勢いよく起き上がると、切った足首が痛んだ。

「、、っ、いったぁっ、、」

痛む足首をさすりながら呟くと、

「ダメですよ、まだ安静にしていないと。」

と、男性の声が聞こえたので

「えっ、」

と、声のしたほうに顔を向けると、部屋の角にあるイスに腰掛けた男性が目にはいった。

男性は読んでいた本を閉じて、わたしのほうに近寄ると、

「よかった、無事に目が覚めて」

そう言って微笑んだ。

「えっと、、あなたは、、、」

「僕は、羽衣 雪人(はごろも ゆきと)。男の子も無事ですよ。」

そう言うと、雪人と名乗る男性は、わたしを安心させるように笑みを浮かべた。

「も、もしかして、、羽衣さんが助けてくださったんですか?」

わたしはおそるおそる尋ねた

「はい、柊木さんのお知り合いの方に連絡をさしあげようとしたのですが、携帯が見当たらなくて・・」

「あ、すみません、今日は仕事が休みだったので家に置いてきちゃいまして・・"
それより、どうしてわたしの名前・・」

「すみません、携帯を探すときに少し鞄の中を見てしまいまして、そのときに、社員証で・・」

(なるほど、そういうことかっ)

陽は納得すると、雪人のほうに向き直り、背筋を伸ばして、真っ直ぐ雪人の目を見つめると、

「本当に、本当に、ありがとうございます。
羽衣さんはわたしの命の恩人です。」

と言って、深々と頭を下げた。

雪人はその様子に目を瞬かせると、クスッと笑って、

「いいえ、女性を助けるのは男の務めですから」

そう言って、目尻を下げて笑った。

(・・うわぁ、よく見ると、羽衣さんってすごく綺麗な顔をしてるなぁ。)

そんなことを思いながら、ジーッと雪人のことを見つめていると、

「こらこら、そんなに見つめると男は勘違いしますよ?

それとも、

勘違いではなく、本当に僕に見惚れていたんですか?」

首を少し傾けて雪人が陽に言った。